2010年2月9日火曜日

第2回議員力検定試験問題に関する問い合わせへの見解

一般2級問27 選択肢④について
問 衆議院の解散に関する記述のうち適切なものを、一つ選択してください。
① 衆議院において内閣不信任案が可決あるいは内閣信任案が否決されたとき、または参議院において首相問責決議案が可決されたときは、内閣は10日以内に衆議院を解散しない限り総辞職しなければならない。
② 衆議院の解散については、その正当性をめぐって裁判所に提訴することができ、実際に解散の違法性が認められた判例がある。
③ 衆議院の解散を自ら議員が求めるときは解散決議を行うことができ、これが可決された場合には衆議院が解散される。
④ 衆議院が解散された場合、その日から40日以内に総選挙を行い、総選挙の日から30日以内に特別国会を召集することとされているが、任期満了による総選挙の場合には臨時国会を召集する。

 ④が適切であり、正解とします。
 これに対して、④の「任期満了による総選挙の場合には臨時国会を召集する」について問い合わせがありました。
 日本国憲法第54条第1項は「衆議院が解散されたときは、解散の日から四十日以内に、衆議院議員の総選挙を行ひ、その選挙の日から三十日以内に、国会を召集しなければならない。」と定め、これを受けた国会法第1条第3項は「臨時会及び特別会(日本国憲法第五十四条により召集された国会をいう)……」と定めています。つまり、解散による衆議院総選挙の後で召集される国会だけが特別会(特別国会)とされています。
 一方、任期満了による衆議院議員の総選挙の場合は、国会法第2条の3「衆議院議員の任期満了による総選挙が行われたときは、その任期が始まる日から30日以内に臨時会を召集しなければならない。」となっており、任期満了による衆議院総選挙の後には特別国会ではなく臨時国会が召集されることとされています。なお、現行憲法下で任期満了による衆議院議員の総選挙が行われたのは、1976年12月の三木武夫内閣下の一例のみです。ご指摘ありがとうございます。

一般2級問47 選択肢②および④について
問 選挙のとき、候補者は白手袋と名前の入ったたすきをしていることが多いですが、その説明で正しいものを、一つ選択してください。
① 届出をすると当該自治体の選挙管理委員会が、独自に支給することになっている。
② 使う場合は、自分で購入しなければならない。
③ 公職選挙法で、全国一律同じものが支給されることになっている。
④ 特に定めはない。

 当初、④が正しく正解であるとしました。
 ②と④につきまして、「たすき」の公職選挙法上の位置づけと公費負担について問い合わせがありました。
 まず、②については、市長と市議会議員の選挙において「たすき代」を公費負担している自治体として、宮城県白石市、石巻市、塩釜市、気仙沼市などがあるとの指摘があり、当該自治体の選挙規定等を確認したところその通りでした。よって、この表現では説明が不十分であり、正誤を判断することができないと考えられます。
 また、④について、公職選挙法第143条第1項第3号で「たすき」について言及がある、との指摘があり、条文上はその通りでした。ただ、現行の公職選挙法は、「たすき」の形態については特に定めておらず、「たすき」に代えて名前等を記したゼッケンを使用した候補者も見られます。その点において、「たすき」やそれに類する候補者の身につける物について制限する法令はありません。出題意図はこのようなものであったのですが、この表現では説明が不十分であり、正誤を判断することができないと考えられます。
 この問47につきましては、上述のように不適当な選択肢が含まれることから、採点の対象から外すこととし、受検者全員を正解の扱いにいたします。
 受検されたみなさまにお詫びを申し上げますとともに、訂正させていただきます。次回検定試験から、このようなことのないよう、作問チェックを重ねて強化いたします。ご指摘ありがとうございます。

議員2級問35 選択肢④について
問 政治的中立を確保する観点から国や自治体に置かれている行政委員会のなかで、選挙事務を担当する行政(執行)機関に関する記述で間違っているものを、一つ選択してください。
① 自治体に設置されている選挙管理委員会の委員は4人で任期は4年。人格、見識は問われないが、選挙権を有するもののうちから、議会が選挙する。
② 総務省の特別機関である(に設置されている)中央選挙管理会は、全国を管轄区域とする選挙管理委員会で、衆参両院比例代表選出議員の選挙事務を管理している。
③ 中央選挙管理会は、その事務を執るために、都道府県および市町村の選挙管理委員会に、資料の提出や必要な指示を出すことができる。
④ 都道府県および市町村の選挙管理委員会は、解散・解職請求において、選挙人名簿のチェックなどの事務を行う。

 ①が間違いであり、基本的にはこれを正解とします。
 これに対して、④の「選挙人名簿のチェックなどの事務を行う」のは市町村の選挙管理委員会であり都道府県の選挙管理委員会は行っていないのではないか、との問い合わせがありました。
 解散、解職の直接請求の手続きについては、地方自治法第76条以下に定められていますが、第76条第1項、第80条第1項並びに第81条第1項は、解散・解職の直接請求における請求先を普通地方公共団体の選挙管理委員会としています。よって、都道府県の議会や知事等の解散・解職の直接請求に係る事務は、本来当該都道府県の選挙管理委員会の職務です。たとえば、東京都選挙管理委員会の『事業概要』(平成19年度版)は、その職務及び権限のなかに、「直接請求に必要な署名数の告示」と「都議会の解散の請求、都議会議員及び都知事の解職の請求に関する事務」を挙げています。このように、都道府県選管は、都道府県にかかる解職、解散の直接請求において、請求を受け、署名をチェックして有効な署名数を告示し、といった一連の事務を行いますので、④は間違った記述であるわけではありません。
 ただし、選挙人名簿の作成と管理は公職選挙法第19条第2項ほかの規定により、市町村の選挙管理委員会が行っていますので、選挙人名簿に照らした署名のチェックと人数の確認などの処理は、地方自治法第74条の2が準用されて、市町村選挙管理委員会が行うことになります。これは、地方自治法第321条に定められた第2号法定受託事務として、市町村選挙管理委員会が処理するという位置づけになります。「選挙人名簿のチェックなどの事務」を狭くとらえると、実務は市町村選管が行っているという解釈は正しく、④の記述を誤りと解釈することも可能です。
 以上から、今回の試験においては、基本的には①を正解としますが、④を選択した回答もあわせて正解として扱うことといたします。
 ご指摘ありがとうございました。
http://www.senkyo.metro.tokyo.jp/outline/h19jigyo_gaiyo.pdf参照。]